「なんでこんなに迷うんだろう…」
カフェのメニュー、動画のサムネイル、洋服のセールコーナー。
選択肢が多ければ多いほど、なぜか“決められない”という経験、あなたにもありませんか?
なぜ「選択肢が多いと迷う」のか?
この現象は**「選択のパラドックス(choice paradox)」**と呼ばれる心理効果です。
私たちは選択肢が増えることで「自由度が高まり、満足度も上がる」と思いがちですが、実際にはその逆になることが知られています。
2000年、コロンビア大学の心理学者シーナ・アイエンガーらによる有名な「ジャム実験」では、
6種類のジャムを並べたグループよりも、24種類のジャムを並べたグループの方が試食者数は多いのに購入率が低いという結果が出ました。
脳にとって「選ぶこと」は負荷が大きい
選択とは、単なる比較ではありません。
どれを選ぶか=どれを捨てるかでもあります。
選択肢が増えると、私たちの脳は次のような反応を起こします:
- 情報処理の負担が増加する
- 後悔(あっちを選べばよかったかも)の可能性が高まる
- “正解”を求めすぎて決断が先延ばしになる
これにより、結果として「何も選べない」「後悔が残る」状態に陥りやすくなるのです。
なぜ現代人は“選べない”で疲れているのか?
現代社会は「選択肢の洪水」です。
- SNSでおすすめされる商品やサービス
- サブスクで無限に並ぶ動画や音楽
- 無数の求人、学習コンテンツ、人生の選択肢
こうした環境は、便利である一方で、常に“より良い選択”を求められるプレッシャーを生み出しています。
これがいわゆる「決断疲れ(decision fatigue)」にもつながります。
“選べない”自分に効く3つのヒント
選択のパラドックスに振り回されないためには、次のような考え方が効果的です:
-
「ベスト」ではなく「ベター」で十分
- 完璧な選択は存在しません。80点でOKとする視点を。
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「選ばない」ルールをあらかじめ決める
- 例:カフェでは必ず“左上のメニュー”を選ぶ、など。
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選べない自分を責めない
- 迷うのは“考えている証拠”。脳は正常に働いています。
おわりに|選ぶ力より、“手放す力”が大事かもしれない
選択とは、自分の「優先順位」と「価値観」を明確にする行為でもあります。
だからこそ難しいし、迷うのです。
でも、選ばなかった選択肢に未練を残さないこと。
それが、現代を心地よく生き抜くための“選択力”なのかもしれません。